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  3. 2008年8月228日ニュース

うつ病で休職すべきか否かを考える--心の健康診断(5)

うつ病と診断され、医師からも休職を勧められたとしても、実際に休職するかどうかを決断するのは自分自身です。今回は、休職するか否かのポイントと、休職中の過ごし方について考えます。

 企業に「メンタルヘルスの不調により1カ月以上休職している社員がいるか」と尋ねたところ、6割強の企業が「いる」と回答しました。規模別に見ていくと、300人未満の企業で73.4%、300~999人の企業では67.1%、1000人以上の企業では93.2%にのぼります。規模が大きくなればなるほど「いる」と回答した割合が高くなっています。この割合を実際の人数でみると、1社あたり9.5人の休職者がいることになり、従業員比では0.5%となります(労務行政研究所調べ)。

 医療機関を受診し、医師から「休職してください」と言われても、いざ自分がその0.5%に加わるとなると、なかなか決断できませんよね。そもそも「休職の基準ってあるの?」という疑問にぶつかってしまうかと思います。

休職の基準はあるのか

 「休職の一般的な基準はあるのかないのか?」と聞かれると、一般的にはないのが現状です。うつ病の判断基準はあっても、「休職」についての明確な判断基準はありません。個人個人の病状や症状、仕事の状況、職場のサポート体制など、さまざまな状況を医師が考慮し総合的に判断しています。

 また、休職の診断書をもらっても、実際に休職するか否かを決める最後の決断は本人に委ねられています。一般的な基準がない中で、個人が「休職するか否か」を決めるのは非常に難しいことです。自分の状況や行動を振り返り、仕事の遂行が可能か否かを自分で決めるしかないのです。

 そこで、休職の決断をするにあたっての簡単なチェックポイントを5つ紹介します。

  • 朝、起きられない
  • 夜、眠れない
  • 会社に行っても、人と目をあわせることができない
  • 会社で誰とも話す気力が沸かず、コミュニケーションをとろうと思わない
  • 書類の文字、PCの画面の内容が頭に入らず、目で追うのが精一杯

 このような症状で仕事にも悪影響が出ていると感じたら、真剣に休職を考えてください。

休職は治療への近道

 うつ病の特効薬は「じっくり休養をとること」です。仕事と治療を平行して続けるのも一概に否定はできませんが、思い切って休んでみてはいかがでしょうか。

 うつの治療でなぜ休養が必要なのでしょうか。それは、うつ病とは脳が疲れている状態だからです。疲れを癒すには休養が欠かせません。また、うつ病を引きおこすのは「たまりすぎたストレス」が原因ということもわかっています。ストレス耐性には個人差がありますが、ストレスがたまりすぎて耐えきれなくなり、脳が疲れ果ててうまく働かなくなった状態が「うつ病」なのです。

 脳が疲れている状態で、人間関係やPC作業、顧客との交渉など、職場のさまざまなストレス源と付き合うのは大変です。無理に仕事を続けても、うまくいかずミスを連発してしまうでしょう。うつになる人は真面目な人が多いので、以前のように仕事ができない自分を責め、病状がますます悪化してしまいます。このままでは、ミスをする → 自分を責める → さらに頑張る → ミスをする → 自分を責める → 自信をなくす → うつ悪化、という負のスパイラルに陥るばかりです。

 「休む=怠け」というイメージが強い日本では、休職に抵抗の強い方も多いかもしれません。しかし、休むことは、今後も真面目に頑張るために必要な仕事のひとつです。今まで真面目に頑張って仕事をしてきたのですから、今度は真面目に頑張って休んでみてはいかがでしょうか。

休み中はしっかり休むこと!

 休職中はしっかり休むことが大切です。うつの発症初期においては服薬遵守で、十分な睡眠を取りましょう。この時期に1日15時間の睡眠時間を確保し、脳を休ませたかどうかで、その後の回復率が大きく変わるとも言われています。抗うつ薬は、服薬開始から効き目が表われるまで少なくとも2週間はかかります。その間は効き目よりも副作用の方が前面に表れるので、無理な行動は禁物です。

 しかし、「休む=1日中寝る」ということではありません。特に、午前中の睡眠時間が長かったり、午後3時以降に昼寝をしたりすると、うつ病が悪化する傾向にあると言われています。大切なのは、規則正しい生活リズムで脳も体もリラックスさせることです。

 体調が回復し始めたら、医師に相談した上で、少しずつ生活に負荷をかけていってもいいでしょう。最初は、お皿を洗う、洗濯物を干すなど家の中のことから始めます。その際、1人で作業するのではなく、誰かと一緒に作業をすれば、復職後のコミュニケーションのリハビリにもなります。

 家の中での作業に慣れてきたら、今度は外の活動を開始してみましょう。近所への散歩や、買い物をするのもいいでしょう。重要なのは、焦らず、徐々に活動を開始することです。

 休職中の過ごし方を、以下にまとめておきます。

  • しっかり休む
  • 服薬遵守
  • しっかりと睡眠をとる
  • 規則正しい生活
  • 少しずつ生活に負荷をかける

 この5つのポイントをおさえた上で、うつ病の治療に取り組んでください。